僕は小さい頃、本当に宇宙飛行士になりたかった。
はずだった。
実はあまり覚えていないのだけれど、昔からかなりの天体好きで、山登りはキライなのに星を見るためだけに寒い中山に登ってカップうどんをすすりながら天体観測したりしていた。
小さい頃はかなりの数の星の名前や星座の名前をソラで言えた。
図書館の宇宙についての本は全部読破して、ことあるごとに知識をひけらかしていた。
らしい。
親から聞いた話である。
うっすらと記憶にないわけでもないから、多少の脚色はあったにしても嘘ではないと思う。
中学で軽いいじめに遭ってグレはじめ、若干不登校になったり成績がガタ落ちしたり恋人が死んだりするうちに、夢なんて忘れた。
あっという間に「なにがしたいかわからない」成績も中途半端な高校生の出来上がり。
しかたないから目についたFラン文系私大にお金払って学位もらっただけの大人である。
そして昨日日テレのanother skyで山崎直子さん(ディスカバリー号の宇宙飛行士)が登場して、ふと思い出した。
ああ、そういえば、宇宙に行きたいとか小さい頃思っていたな、と。
番組の内容は素晴らしいものだった。
宇宙飛行士になるまでの苦悩や、晴れて宇宙へ行けることになったときの興奮、宇宙へ行った瞬間の感動、いろいろな関わってきた人達への感謝。
キラキラした世界だけれど、きっとたくさんの、本当にたくさんの困難や努力があったのだろうなと、にじみ出るようなVTRだった。
あと、山崎さんの素晴らしい人柄も、とても伝わってくる内容だった。
きっとこれでよかったんだなと、ちょっと思った。
これはもう今回のTVでとかじゃなく、わりと昔から(下手したら夢見ていた時から)知っていたことではあるんだけど、宇宙飛行士というのは、本当に高い人間性が必要とされるのね。
せまい宇宙船内で喧嘩なんてされたら国家機関のNASAやJAXAだってたまったもんじゃないから。
そのへんのコミュニケーション能力とか、忍耐力みたいなのは、事前に十分テストされています。
知ってはいたんだけど、あらためてVTRで山崎さん見ると、もう画面からあふれ出る人間力。
きっと小さい頃の夢のまま、あこがれのまま本当に宇宙飛行士を目指したとして、成績も落とさずに条件だけはそろったとしても、僕は絶対に宇宙飛行士にはなれなかったでしょう。
人間性がね、足りてない。
学生時代なら人間性なんて猫被れるわ!って思ったかもしれないけど、絶対無理だから。
たぶん僕があと百回生まれ変わったとしても、今の魂のままだったら、宇宙飛行士にはなれないなぁ。
思い描いていた大人になれなかったことへの悲観というよりは、そもそもの自分の人間性に絶望したよね。たかがテレビ番組でさ。
ま、こうして僕は無駄な努力をせずにすんだわけです。
それを幸せというかは、また別の話として。
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