日々、迷走

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劇団四季 コーラスライン(A Chorus Line)

劇団四季コーラスラインを観に行った。

今まで観てきた劇団四季の中で、ダントツで最下位と言ってもいい。

アニメで言うとCランクの出来だった。

たぶん、この演目を日本人が演じるのにはかなり無理があるのだと思う。

 

ストーリーは、ブロードウェイの脇役(コーラス)のオーディションを受ける、という話。

男女4人ずつ、合計8人の枠に、最終選考で男8人、女9人が残り、自分の出自などを赤裸々に語りながら必死に仕事をとろうとする物語である。

コーラスライン、という題名に似つかわしくなく、かなり演劇に近いミュージカルで、歌ったり踊ったりというシーンは実はとても少ない演目だ。

また、コーラスラインの重要な特徴の一つが 、役者がマイクをつけていないこと。

マイクは舞台前に4、5本並んでおいてあって、それが役者の声を拾っている。

 

まず、この特徴が、高い壁だと思う。

アジア人の肺活量では、音負けしているのだ。

もちろん一般人の肺活量と比較すれば比べ物にならないのだろうが、ミュージカルにしては声量が足りていない。

また、声を大きくすることにより注力するからか、音程や発話が安定していない。(たまに何言ってるかわからない)

僕は相対的に見てもかなり前列に座っていたと思うが、2階席の後ろまで声が届いていたとはとても思えない声量だった。

 

あとは、人種の差が付きにくいこと。

コーラスラインは、自分の出生や身体的特徴を時にアピールし、時に 恥じ、時に克服して、一人一人がその個性を抱えながら舞台に立っている、という設定だ。

残念ながら、本場のブロードウェイとは違い、日本でこの差を出すのは物理的に難しいと強く感じた。

 

さらに、内容。

どうにもしっくりこないというか、届いてこない。

それは役者の力不足なのか、台本がそもそもよくないのか、素人には判断がつきにくいけれど、たぶん、訳と劣化の問題なのかなぁと思っている。

僕はニューヨークでブロードウェイを観るのも好きで、本場と劇団四季を見比べたりもしているのだが、僕が知っている限り100%、劇団四季の舞台構成はブロードウェイのフルコピーである。

コーラスラインは残念ながら本場で観てはいないが、そんなに大改編しているこ とはないと推察する。

超ロングランを達成している本場がダメ、という可能性を捨てるのなら、(まぁ劇団四季も1979年が初演で何度もリバイバルされているからそれなりの評価は得ているようだけど)、やっぱりとか日本での解釈がよくないのかなぁという結論になる。

Wiki先生によると劇団四季の初演は原作者も立ち会ったと言うから、おそらく、初演時は前のふたつの欠点があれど見た目には悪くない出来に仕上がっていたのではなかろうか。

劇団四季の他の演目もそうだけれど、コーラスラインもそのご多分に漏れず、激しく劣化した、というのが真相な気がしている。

訳については、元から悪かったとかいうよりは、1979年の言い回しが時代錯誤なのか、変えてしまっておかしくなった のか、というところだろう。

実際十数年前に見たライオンキングと今のライオンキングは明らかに変わっているので、コーラスラインも手を加えてさらに劣化したのかなぁと思う。

 

劇団四季は、ライオンキングもオペラ座ウィキッドもマンマミーアも、一度は見る価値があると思っているが、コーラスラインが今のクオリティのままなら、こればかりは残念ながら他人にお勧めはできない。


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